相続が「争続」などと言われるようになりました。遺産分割でもめてしまうことは、財産の多寡にかかわらず増えています。

また、遺言書を作成しても、その内容がかえって争いごとを招いたり、拡大したりしてしまうケースもあります。

ご意向に沿った相続が、争いなく実現できるように、遺言書の作成をお手伝いします。

■遺言の意義

一般的に言葉の意味としての「遺言」は、亡くなった方の最期のメッセージ全般を指しますが、法律上の「遺言」とは、遺言者(遺言を書いた方)の死亡時に財産を移転するという効果を生じさせる意思表示をいいます。

 遺言に従って、亡くなった後の財産の所属が決まりますので、相続人は、遺産の帰属について協議する必要がなくなります。

 ですから、相続人間で紛争が起こらないような配慮した遺言書を事前に作成しておくことで、遺産を巡る相続人間の争いを防ぐことが可能となります。

■遺言能力(認知症と遺言)

15才以上であれば、誰でも遺言書を書くことができます(民法961条)。

では、認知症になっていたらどうでしょう。遺言能力(遺言書を作成するのに必要とされる能力。民法963条)を有しているといえるでしょうか。

結論から申し上げると、一律に「認知症になったら遺言書は作成できない」というわけではありません。認知症の進行の程度と遺言書の内容(複雑さの程度)に左右されます。後見が開始していても、一定の条件を満たせるのであれば、遺言書を作成することが可能です(民法973条)。

御相談にいらっしゃいましたら、御相談者様の状況に応じて、遺言書作成の可否をご説明いたします。

■遺言事項と付言事項

法律上は、「遺言」として法的効果が生じる事項が厳格に定められています。代表的なものは、「遺贈」といわれる財産の移転(民法964条)です。他にも、未成年者の後見人の指定(民法908条)、嫡出子でない子の認知(民法781条2項)、相続分の指定(民法902条)、遺言執行者の指定(民法1006条)などがあります。

その一方で、「相続人への感謝の気持ち」「このような遺言書を書いた理由」「埋葬についての希望」は、法律上の規定がなく、法律的な効果は発生しません。ただ、法律的な効果が発生しないだけで、遺言書に遺言者のお気持ちを書くことが制限されているわけではありません。遺言書の末尾に「付言事項」として記載することも少なくありません。

■遺言の書き直し(撤回、取消)

遺言者は、何度でも遺言書を書くことができますし、いつでも遺言書を撤回して、遺言の内容を取り消すことができます(民法1022条)。

加除訂正をする方式は厳格に定められていて、遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記して署名し、かつ、変更場所に印を押す必要があります(民法968条3項)。

新しい遺言書を書いたときは、古い遺言書は、新しい遺言書と抵触する範囲で無効となります(民法023条)。

■自筆証書遺言

ご自身の自筆で作成する遺言書です。原則として、全文、日付、氏名を自署して、印を押す必要があります(民法968条1項)。2019年1月13日からは、財産目録部分は自署をしなくてもよくなり、印刷した目録の全頁に署名し、印を押した物を遺言書の本文に添付することで遺言書を作成できるようになりました。

■自筆証書保管制度

2020年7月10日から始まった、自筆証書を法務局で保管する制度です。自筆証書を自宅で保管すると、紛失や隠蔽、破棄や改ざんなどの可能性がありますが、この制度を利用すると、遺言書は法務局で保管されるので、破棄や改ざんされる可能性はなくなります。遺言者が亡くなった後は、相続人が法務局で保管の有無を確認し、閲覧の請求ができますから、紛失や隠蔽によって遺言書が見つからないという心配もなくなります。遺言書の検認も不要です。

■公正証書遺言

遺言の内容を公証人に伝え、公証人が作成する遺言書です。証人が2名必要となります(民法969条)。作成した公正証書遺言は公証役場で保管されますので、遺言書の紛失や破棄を防ぐことができます。遺言者が亡くなった後、相続人は、公証役場に遺言書の検索を依頼して遺言書を探し、遺言書の内容を知ることができます。

■遺言書の検認

遺言書の検認とは、自筆証書遺言を家庭裁判所に提出して、遺言書の状態を確定し、その現状を明らかにするものです。遺言書が封をされていたら、家庭裁判所の検認手続まで開封してはいけません(民法1004条)。遺言書の検認を申し立ててから実際に検認の手続が行われるまで、数ヶ月の時間を要すことがありますのでご注意ください。

なお、この検認手続は、遺言書の状態を記録に残すことが目的で、遺言書の有効性などの判断はなされません。

公正証書遺言や法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言は、検認の必要はありません。

■遺言書と遺産分割協議

遺言書があっても、遺言執行者(遺言の内容を実現する義務がある)が指定されていなければ、また、相続人以外の第三者に遺産を渡すような遺言書でなければ、相続人全員が協議して、遺言書の内容と異なる遺産分割をすることは可能です。

■遺言執行者

遺言執行者とは、遺言の内容を実現する者です(民法1012条)。遺言書で指定されていなければ、家庭裁判所に選任の申立てをすることができます(民法1010条)。

未成年者の後見人の指定(民法908条)は家庭裁判所で審判手続が必要ですし、嫡出子でない子の認知(民法781条2項)も戸籍上の届出が必要ですから、遺言執行者がいなければ手続ができません。財産の移転だけであれば、遺産をもらう人が手続できる場合もありますので、遺言執行者がいなくてもよいかもしれません。ただ、遺言書の内容をスムーズに実現するために、遺言執行者を指定しておいた方がよいことも多いです。

■遺言書作成への流れのイメージ(公正証書遺言書を作成する場合)

  ご相談

(遺言書に書きたい内容をお伺いします)

   ↓

  受任する弁護士との間で委任契約を締結

(自筆証書で作成するのか、公正証書で作成するのかなど、ご希望に添った内容でご依頼を承ります。)

   ↓

  遺言書作成に必要になる財産資料の収集と、遺言書案の作成

  (戸籍や住民票、遺産の内容によって不動産登記簿謄本などが必要になります)

   ↓

  公正証書に遺言書作成の予約(日程調整)

  (外出が難しい場合は、公証人に自宅にきてもらうよう依頼します)

   ↓

  公正証書作成当日。公正証書遺言書の完成です。

■費用

       遺言書作成         定 型  10万円から20万円の範囲内の額
     非定型         基 本     300万円以下の部分           20万円  300万円を超え、3000万円以下の部分 1%  3000万円を超え3億円以下の部分    0.3%  3億円を超える部分                  0.1%
 特に複雑又は特殊  な事情がある場合 弁護士と依頼者との協議による定める額  
 公正証書にする場合 右の手数料に3万円を加算する。

 公正証書を作成する場合は、上記とは別に、公証人に支払う費用が発生します。

 公正証書作成時に、証人をご自身で用意されない場合は、別途、証人の日当が発生します。

3 よくあるご質問

 Q1 自筆証書遺言書を自分で作ってみたけれど、この遺言書で有効でしょうか。

 A1 一度、拝見いたします。自筆証書遺言書は、一定の条件を充たしていなければ無効と扱われてしまいます。

 Q2 自筆証書遺言をしてあるので、自分の相続は安心だと思っているのですが・・・

 A2 相続については、法律が複雑なルールを定めています。ご本人では気づいていらっしゃらないもめごとの原因が含まれていないか、一度、弁護士に内容を確認してもらうことをお勧めします。

 Q3 自筆証書遺言書以外には、どんな方法で遺言書を作成できますか。

 A3 公証人に作成してもらう公正証書遺言があります。また、2020年より、自筆証書遺言書を法務局で保管してもらう制度が始まりました。遺言書の内容や相続人との関係などから、どんな方法で遺言書を作成するのが一番良いか、アドバイスさせていただきます。