もしかすると、日常の生活でもっとも重要な契約は、従業員と労働者の間の労働契約かもしれません。しかし、労働契約は、とても複雑で、ひとたびトラブルが生じれば、その法的な解決には、高い専門性が求められます。弊所では、従業員とのトラブルを抱える中小企業の経営者の方々や、逆に、会社とトラブルが生じている従業員の方々のいずれからもご相談を頂いております。労働関係のトラブルに関しては、早めのご相談をおすすめ致しますので、是非、弊所にご相談ください。

1 解雇について

 (1)解雇の種類と有効性

    解雇には、①整理解雇、②普通解雇、③懲戒解雇の三種類があります。会社が従業員を解雇しようとする場  合はいかなる解雇であろうと、「客観的に合理的な理由」が必要となります。

    客観的に合理的な理由がない解雇は、解雇権の濫用となり無効となります。

    会社側から従業員を解雇使用と考えている場合にも、即断することはトラブルの元になり得ます。客観的に合理的な理由があるかどうか慎重に検討をしなければなりません。

    従業員の側からは、解雇を突然言い渡された場合に、その解雇に正当な理由があるかどうか確認し、客観的に合理的な理由がなければ、その解雇は無効ですので、労働契約の継続について、会社と交渉をする必要が生じます。

  (2)解雇が認められる「客観的に合理的な理由」

     解雇の有効性が認められる客観的に合理的な理由の有無の判断は非常に類型化が困難であり、一概にこの場合には、解雇が認められる理由があると断言することは難しいといえます。

     一例として、労働者側の事情による解雇として、労働者が半年間に20数回の遅刻と10数回の欠勤を行い、上司からの繰り返しの注意警告が行われたにもかかわらず、勤務態度が改善されなかった場合について、「客観的に合理的な理由」があるとして、解雇が認められたケースがあります。

     様々な事由を総合考慮した上で、客観的に合理的な理由の有無は判断されますので、解雇の有効性については、一度ご相談いただいた方がよいと思います。

     

2 賃金について

 (1)未払い賃金・未払い残業

    会社から所定の賃金が支払われない。残業しているのに、残業代を会社が払ってくれない。そういったケースは、労務管理が曖昧な会社や業種では往々にしてありえます。

    逆に、会社も、残業代請求をされたものの、対応が分からないという場合もあるのではないでしょうか。

    労働契約は、従業員が労働をした対価として、会社が賃金を支払うという契約ですので、労働が行われ、さらに残業が行われれば、会社は賃金や残業代を従業員に支払わなければなりません。

    未払い賃金・未払い残業代の紛争の場合、①労働をしていた時間、②賃金や残業代の支払が必要な時間であったか、③残業代の支払が必要な場合であるか、が問題となります。

    ①については、タイムカードやパソコンの使用時間で、従業員側は立証を行っていくことになります。

    ②については、原則として、会社は、労働者が会社の指揮命令下にある場合の労働に対し、賃金を支払う義務を負うため、労働者の労働がどのようにして行われたかが問題となります。例えば、朝礼や更衣時間は労働時間となるのか等、ケースバイケースな判断が必要になります。

    ③については、固定残業代を支払っている場合や従業員が管理監督者に該当する場合には、そもそも、残業をしていても、残業代等を支払う必要が無い場合も例外的にあります。

  (2)残業代の計算と時効

     具体的な残業代の計算は、専門の計算ソフトを使用することが通常です(法外残業による割増計算等を行うことができるため、手計算よりも有利に計算が可能です)。計算自体は弁護士が行いますので、お気軽にご相談ください。

     残業代等の請求にあたって注意が必要な点は、令和2年3月以前の賃金については2年、令和2年4月以降の賃金については3年で時効により請求権が消滅してしまう点です。

    時効の起算点は、賃金が請求できるとき、すなわち、月々の給料日となりますので、ご注意いただき、早めのご相談をお願い致します。

    なお、時効については、会社に請求をすることにより、6か月間だけ、時効の完成を猶予させることが出来ます。消滅時効が完成する直前の場合には、取り急ぎ、内容証明郵便にて、請求者を明示して、債権の種類と支払期(何年何月何日に支払われるべき残業代もしくは賃金)を特定して請求することが重要です。

     

2 費用

労働事件のうち、金銭的な算定が容易な事件の着手金及び報酬金(表1)

経済的利益の額着手金標準額報酬標準額
300万円以下の場合8%16% 
300万円を超え3000万円以下の場合5%+9万円10%+18万円
3000万円を超え3億円以下の場合3%+69万円6%+138万円
3億円を超える場合2%+369万円4%+738万円


労働事件のうち、金銭的な算定が困難な事件(解雇無効確認事件等)の着手金及び報酬金(労働者側)

労働事件の内容着手金標準額報酬金標準額
労働審判30万円~50万円バックペイに労働者の年収を加えた額を経済的利益の額とし、前条1項の表に従い算定する。ただし、和解により解決金を支払う形で終結した場合、支払を受ける解決金を経済的利益の額とし、表1に従い算定する
労働訴訟40万円~60万円バックペイに労働者の年収を加えた額を経済的利益の額とし、前条1項の表に従い算定する。ただし、和解により解決金を支払う形で終結した場合、支払を受ける解決金を経済的利益の額とし、表1に従い算定する。

労働事件のうち、金銭的な算定が困難な事件(解雇無効確認事件等)の着手金及び報酬金(会社側)

労働事件の内容着手金標準額報酬金標準額
労働審判30万円~50万円バックペイに労働者の2年分の年収を加えた額を経済的利益の額とし、前条1項の表に従い算定する。ただし、和解により解決金を支払う形で終結した場合、バックペイに労働者の2年分の年収を加えた額と支払う解決金の額との差額を経済的利益の額とし、表1に従い算定する。
労働訴訟40万円~60万円バックペイに労働者の2年分の年収を加えた額を経済的利益の額とし、前条1項の表に従い算定する。ただし、和解により解決金を支払う形で終結した場合、バックペイに労働者の2年分の年収を加えた額と支払う解決金の額との差額を経済的利益の額とし、表1に従い算定する。



※労働審判事件から引き続き労働訴訟事件を受任するときの着手金は、前項の規定による労働審判事件の着手金の額の2分の1。
※仮の地位を定める仮処分事件を受任する場合の着手金及び報酬金は、着手金及び報酬金はそれぞれ30万円から50万円の範囲内の額 
※仮の地位を定める仮処分事件から引き続き労働訴訟事件を受任するときの着手金は、10万円
※上記の表はあくまで目安であり、弊所では依頼者と協議のうえ、労働事件の着手金及び報酬金の額を、依頼者の経済的資力、事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁簡等を考慮し、適正妥当な範囲内で増減することができます。

3 よくあるご質問

 Q1 労働審判とはなんですか。

 A1 労働審判手続は,労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会が,個別労働紛争を,原則として3回以内の期日で審理し,適宜調停を試み,調停による解決に至らない場合には,事案の実情に応じた柔軟な解決を図るための労働審判を行うという紛争解決手続です。労働審判に対して当事者から異議の申立てがあれば,労働審判はその効力を失い,労働審判事件は訴訟に移行します。(裁判所ホームページより引用)

 Q2 仕事をさぼっている従業員を解雇したところ、従業員が弁護士に依頼して、内容証明郵便が送られてきました。どうしましょう。

 A2 従業員の方の勤務状態や、解雇の態様によっては、解雇が無効とされる場合も考えられます。

    解雇が有効だと考えられる場合でも、従業員側に有効な解雇であったことを主張し納得を得なければ、さらなる紛争につながりかねません。

    解雇の有効・無効は、具体的な事情や証拠により左右されるものですので、弊所では、実際にお話しをお伺いし、法的アドバイスを行います。

 Q3 まだトラブルにはなっていないが、今後退職に当たって、トラブルになりそうな従業員がいるのですが、ご相談してもよろしいでしょうか。

 A3 もちろんです。

    法的トラブルになる前の対処は、労働事件では、特に重要です。

    労働契約書や就業規則等の資料をご持参いただけますと幸いです。

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